2022年に入荷した新品LP/CD商品の中から、ギター専門店が選ぶ年間ベスト・アルバムを発表!

2022年はギターアルバムの当たり年でした。新旧ジャンル問わず、とにかく豊作揃い。特にレジェンドクラスがリリースラッシュ。ジェフベック、スティーブヴァイ、ジェフバクスター、ジョンスコフィールド、ビルフリゼール、ボニーレイエット、ケブモ、アンディサマーズ、ビレリラグレーン、アンディティモンズらのベテラン勢、テデスキトラックスやレッドホットチリペッパーズ、ジャックホワイト、マンスールブラウン、エリックゲイルズら現代のギターヒーローたち、そしてスーパーギタートリオの未発表、カートローゼンウィンケルやオズノイ、フェネスの初LP化等など...挙げるとキリがないほど充実した年となりました。

今回は「作品のクオリティー」「アレンジ」「テクニック」「創造性」「革新性」「普遍性」という、6つの評価軸で選出いたしました。近年SNSやサブスクの普及により、目先の衝動を誘導するような音楽が増殖する中、決してコケ脅しの一過性のものではなく、ずっと長く付き合えるような普遍性のある良質なギター音楽をじっくりと選び抜きました。ジャンルを超え、本当にギター好きな人へ届けたい、胸を張っておすすめできる、そんな一生もののギターアルバム10選です。


1. Julian Lage / View With A Room
かつてハービーハンコックが「ジュリアンは心と魂でプレイする」と語ったように、これほど繊細で熱いギターを弾くギタリストは、過去のジャズ史においても類を見ない。圧倒的な表現力の密度の濃さは、誰も到達できないレベルにまで達した。

2. Rosie Frater-Taylor / Bloom
クールでありながらナチュラルかつピュア。ジョニミッチェル+パットメセニーと称された、UK注目の新世代ジャズシンガーソングライター女子によるフォーキージャズ。

3. Mary Halvorson / Belladonna & Amaryllis
ダウンビート誌の批評家投票で6年連続ギター部門1位を獲得している、現代ジャズ最高峰の作編曲能力を堪能できる、贅沢な2種編成による2タイトルを収録。

4. Polyphia / Remember That You Will Die
CHONやichikaと並び、テクニカルなタッピングプレイで、現代のギター小僧たちを魅了するマスロックバンドの傑作。

5. Gabor Szabo / Live In Cleveland 1976
元祖クロスオーバー的存在による未発表ライブ。数年前にグラントグリーンの1975年の未発表ライブ盤が出たが、その方向性に近い雰囲気。1976年といえば、ギターがジャズの主役になった黄金期であり、ジャズが最も商業的成功を収めた時期だが、その裏で彼らがこのような反コマーシャリズム的な硬派な演奏をしていたことは感慨深い。

6. Tabloid / Tabloid
シティポップとかネオソウルへの北欧からの返答とも言える、オールドスタイル回帰的センスと作編曲能力が抜群に素晴らしい。一見チャラそうだけど、しっかりと高い普遍性も感じる。ジャケ写のふてぶてしいダサかっこ好さも確信犯か。

7. Eivind Aarset / Phantasmagoria
20年以上も前から変わらず貫き通すアンビエントジャズ〜エレクトロジャズの実験精神に、やっと時代が追いついた。今どきのSam Gendelファンも要注目。

8. Tom Misch / Quarantine Session
パンデミック時代ならではの、よそ行きじゃない普段着感?、おうち時間ならではの、リキみのないカジュアル感?、が聴き手にとっても最高に心地よい、おうち時間のお供になりました。

9. Delicate Steve / After Hours
エレキギターを知り尽くした男によるギターオタクのためのサーフロック&フェンダーギターライクな?、エレキギターインスト好盤。

10. Jeff Parker / Mondays At The Enfield Tennis Academy
彼が通ってきたポストロックやエレクトロニカ、前衛やヒップホップ、それをそのままジャズという形で自然に表現した。オーソドックスな四つ打ちがジャズの本質なのではなく、様々な音楽要素を取り入れて進化すること、これこそが本来ジャズのあるべき姿なのだろう。